金谷 潤子
10月6日
札幌で細々と在宅医療を主に時に予防医療や代替医療をしております。
時代の流れとともに「家に最期まで」或いは「最期に家で」という方は増えており、ここで投稿している内容もいつしか看取りのご紹介が殆どとなりました。
私の仕事は語り部ではありません。
百数十人の自分の患者さんの生活を少しでも安心なものにするサポートとして、医療からの工夫をする医者です。
しかし、終末期医療や緩和ケア医療に対して、
一般の方はもちろん、たとえ病院の医師であっても誤解されていることがあるという事実に少しずつ気がついてきました。
お話する機会や、或いは投稿することで、
「もっと難しく考えていたために少しの勇気が持てなかった」
「そうだと知っていたら、あんなに悩まなかった」
そんな声が少しでも減り、
病院の医師とも良い関係性を築くことができるかもしれないと、不肖にも考えて今に至ります。
在宅医療を始めて6年、
投稿を始めて6年。
ありがたいことに、今は月に1〜2回講演依頼もいただくようになりました。
資料無しのその場語りで在宅医療や終末期医療などについてお話させて頂いています。
要介護5の父の主治医となるべく、在宅医療の道に進みましたがその父も昨年急逝致しました。
しかし背中を押してくれる父の手を今も感じています。
当院の在宅診療部は私1人のかかりつけ医ですので、
常に訪問看護さんや訪問薬局さん、ケアマネさんや地域の福祉介護の方々のご協力を得て、お一人お一人違うチームの顔ぶれの中、医療面での船頭を致します。
残された時間の短い患者さまには、
「在宅医療は、病院をそのまま家に持ってきたのではない」
「人の心身を整える為の工夫は無限で、日々変化する」
という信念の元に自分流の緩和ケアサポートをしております。
終末期の関わりは、マニュアルで全てを語ることができません。
人のいのちの内なる声、不安、願いを感じ取り、
たとえ僅かでもご本人やご家族にとって少しでも良い時間を過ごしていただくため、臨機応変を可能にするチーム医療でありたいといつも思います。
私は終末期に24時間点滴やポンプを用いることが殆どありません。
先にも述べたように、在宅医療は「家でも病院と同じことができること」という部分に安心があるわけでは無いからです。
病院と同じことをしなくても、
或いはむしろ医療によるコントロールを外れた方が、「自分で最期を整える力」が思う存分に発揮できると感じているからです。
もっとシンプルな
けれども丁寧で個別な方法で、
安心や安楽を生み出すhow-toの力量が自分に問われているといつも感じています。
まだまだ精進して参ります。
どうぞ宜しくお願い致します。