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2019.10.23

訪問診療ブログ『ゆるし』

金谷 潤子
10月17日

『ゆるし』

とてもお若い癌末期。
お子様たちも幼く、少しでも多くの時間を家でとのことでご紹介がありました。
毎日、笑顔に囲まれて楽しく尊い時間は過ぎました。
(まるで用意されたようなミラクルもたくさんありました)

まだお家に帰り3週間にもなりませんが、
3日前からあまりお話できなくなってきたので、
居間に布団を敷き詰め、大家族皆さんで夜は眠りました。
「川の字」がたくさんです。

家族との時間を何よりも大切にされておりましたので、もしお迎えが来ても慌てて私を呼ばなくても良いこと(呼んで下さっても勿論大丈夫!)をお伝えしておりました。

朝早くにショートメールで旅立ちのご連絡が来ました。
伺いますと、聖母さまのように微笑んだ(本当に笑顔でした)彼女のお顔に保湿のワセリンを一生懸命に塗る小さな手がたくさん。
お迎えが来たのは0時過ぎでしたが、ご家族皆様でゆっくりお別れをされていたとのことです。

そっと診断させていただくと、一度泣きやんでいた小さなお顔たちが一斉にクシャクシャになり、大粒の涙が止めどなく流れました。

もう、分かっていることとは思いながら
「また向こうでお母さんに会えるから、一生懸命に生きようね。向こうの時間は経つのがゆっくりだから、きっと天国に着いてからお母さんがホッとしてお茶飲んでいる間に、また会える日になりますよ。
だから、それまで、お母さんにたくさん報告できるように一生懸命生きましょう。」
と、お伝えしました。

血圧が50を切り意識が無くなっても、
小さな手が触れるとわずかに握り返してきました。
どんなに心残りだっただろうと思います。

それでも、全てを受け入れているような、
この世の不条理もゆるしてくれたような、
微笑みを見ると、

ただ、ただ、

私もしっかりと生き尽くそう、
またお会いする日まで。

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