金谷 潤子
10月24日
『104歳のあなたから』
札幌生まれ札幌育ちの方。
理容師さんとなり、若き兵隊さんの整髪をして送り出したこともあったそうです。
踊りの師範や三味線の弾き語りなども嗜み、
ご両親やご主人さまの介護にも尽くされて来ました。
80歳になるとご自身で「ボケ防止の為に」と
地下鉄とバスを乗り継いでお一人で囲碁教室に通い始めました。
99歳で大腿骨骨折もされましたが回復。
102歳まで週1〜2回の囲碁教室を楽しまれていました。
その後、心不全増悪があり教室は残念ながら終了。
ご家族の介護負担もあり、施設入所と共に私にご紹介がありました。
0.5Lで在宅酸素が入ってましたが、ご本人は使いたくない。
外していても苦しくはないのですね。
それではやめましょう。
酸素吸入中も苦しくて1日何度か使っていたニトロ。
検討の結果、偽薬で良いのではと考え、
何度か乳酸菌の錠剤を代わりに飲んでいただきました。
それで十分落ち着かれているので終了しました。
複数の降圧薬や利尿剤もゆっくり整理しています。
「もう死にたい」が口癖です。
眠っている時にそのままお迎えが来る様に、ちゃんと私がお約束しますね。
おまじないに眠りを誘う抗うつ薬をほんの少しだけ。
最近はご体調も安定して足の浮腫も消失し、
随分お元気になりましたので、
月に数日〜半分ほどはご自宅に帰られています。
昨日は何と2年ぶりにデイサービスで碁を楽しまれました。
この神々しいお姿。
背筋が伸びます。
この方の人生の幕引きがどの様かは分かりませんが、穏やかに心地良い大往生となるまで、
どうか色々と教えて下さい。
104歳の方のご希望やご意見に私が何を言えましょう。
その生き様から学ぶことしかありません。
彼女が100歳の時にその凛とした有り様は人の心を動かし、NHKの取材を受けて番組となり、本にもご登場されました。
102歳でご体調を崩され重篤となっても、
生命の灯火はまた強さを取り戻して今に至ります。
忘れん坊さんの側面は有りますが、
碁を打つその姿は私たちなど足元にも及びません。
私たちが産まれた時に、立派な大人であった方々。
戦後の日本をしっかりと立て直して来て下さった方々。
感謝と学びしか無いのです。