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2019.09.17

訪問診療ブログ『在宅看取りのご報告』

金谷潤子
9月10日

患者様の在宅療養のご様子とお看取りのご報告を、関与して下さっていた医師にいつも文書で送らせていただいております。

「平素大変お世話になっております。
患者さまはこれまでの◯◯クリニックから貴院への人工透析施行先の変更を受けていただき、当院ではその上で在宅緩和ケア目的で訪問診療開始致しました。

初診時は呼吸苦や咳嗽、嚥下困難著しい状況でしたが、薬剤調整後、小康状態となりました。
先週末からは経口薬摂取困難となり、アンペック坐剤10mg、リンデロン坐剤1mgを朝、就寝時にアセトアミノフェン坐剤400mg、そしてフェントステープ1mgで疼痛と呼吸苦は緩和され、食事も少量摂取可能となりました。
ご本人さまは、◯◯に在るご自宅で最期を迎えたいという思いが有りましたが、
ご家族背景も非常に複雑で意見も微妙に分かれている為、慎重にヒアリングしておりました。

ご家族さまの心中は、最終的には病院(◯◯病院外科)という本音と、ご本人の希望(在宅看取り)を叶えてあげたいという建前の中で揺れている印象でした。
私自身もどのような支援であるべきかを毎日悩んでおりました。

昨日早朝に、一時的な呼吸苦増悪がありましたが、早急に回避。
その際、奥様に◯◯病院入院を問うも、「まだ頑張りたい」とのことでした。
現在の自宅内で歩行困難と判断し、取り急ぎ小型の車椅子レンタル手配を致しました。

そして、本日早朝4時頃に、再度呼吸困難のご連絡がありましたが、既に死前喘鳴の状態で酸素飽和度も著名低下しておりました。
ご家族は当初、動揺して救急搬送をご希望されましたが、呼吸停止の直前であることを落ち着いてお話しますと、冷静を取り戻した為、そのまま在宅看取りとさせていただきました。

当院での関わりは僅か11日間でしたが、お迎えの前日まで生活動作も保たれ、夜も良眠、日中は奥様と穏やかな時間を過ごされていた印象でした。

本日はご本人のお誕生日でもあり、本州の娘さまも来られる予定となっており、様々を見越しての往生であったかと推察致します。
この度は貴院の連携を頂いたお陰で、透析を直前まで施行しながらの終末期療養という難易度の高さも乗り越えて、良い在宅看取りを叶えることができました。

僅かな期間ではありましたが、ご本人やご家族にとってはかけがえのない、思い出深い終末期であったと思います。
本当にありがとうございました。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。」

(※同内容で◯◯病院外科医師にもお手紙を送りました。)

約1週間後、
◯◯病院 透析担当医師から
「この度は、詳細にご報告いただき、有り難うございます。
短期間ながら、諸々、大変だったと推察され、ご苦労様でした。
今後ともよろしくお願い致します。」

◯◯病院外科医師から
「先生には、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたびは患者◯◯ ◯◯様の看取りをして頂き誠にありがとうございました。
当院で最後を迎えたいとの希望でありましたが、自宅でご家族に囲まれて最後を迎えることができたとのこと、何よりではないかと思います。
重ねてお礼申し上げます。 今後ともよろしくお願いいたします。」

と、ご返信をいただきました。

労いのお言葉を頂くことは、本当にありがたいです。
少しでも在宅医療、在宅看取りの現実をご理解いただき、終末期を迎える方々の大切な時間がより良いものとなる為の連携となればと願ってやみません。

2019.09.17

訪問診療ブログ『また会える🍃』

金谷潤子
9月8日

8月30日に、熱いナース魂の訪看所長からの突然のSOSに二つ返事で駆けつけて始まった、癌末期の女性の訪問診療。
「看護師さんたちへ」というタイトルで投稿にもしておりました。

静かにお迎えが参りました。
穏やかに経過した10日間。

ご家族さまに、
「この安らかな道行きは全てご家族さまの思いやりと努力と寄り添い、
そしてご本人さまの懸命に生きてこられたそのお姿がきちんとこのようなお導きとなったと思います。」

と、お話いたしました。

「私は霊感も何も持ち合わせませんが、こうして在宅看取りを多くさせていただいておりますと、
亡くなった後の世界は有るのだと実感致します。
残念ながら私もご家族さまもいつか必ず死にます。
その時までのしばしの別れです。
必ずまたお会い出来ます。」

「早く会えるにはどうしたら良いのでしょう?」

「そうですね。
きっと、お迎えが来るまで一生懸命生きることではないでしょうか?
後、何年私たちが生きるのか分かりません。
ご家族さまが、あと5年、10年と◯◯様を失って生きていくことは長く感じるかもしれませんが、
きっと向こうの世界ではあっという間のことでしょう。
この世のお勤めを終えて、ご家族様が向こうに行かれた際には◯◯様は、ほんの僅か遅れただけなのねと笑顔でお出迎えして下さるのではないでしょうか。
私はそんな風に思うのです。」

数回の付き合いでしかない私のその場語りではありますが
ご家族さまには
瞬間を受け止める、
ご自身を納得させる、
何か一縷の希の言葉をおかけすることを心がけています。
私のことなど
私の言葉など
過ぎ去れば全て忘れて下さって良いのです。

何か少しでも救われて
少しでもホッとしていただきたくて。

皆さまくしゃくしゃの優しい笑顔で大きくうなづいておられました。
それは私の言葉にではなく、
おそらくご自分のお気持ちに。
しばしのお別れに。

毎日サポートして下さった訪問看護さん、
麻薬のパッチや坐薬を迅速にお届け下さり、
殆ど口から飲めなくなった際には粉薬を溶かして飲ませるためのスポイトもご用意して下さった訪問薬局さん、
最期の最期まで、お手洗いで排泄を済ませたい願いを叶えるために早急にポータブルトイレをお手配して下さったケアマネさん、
10日間のチームの思いはしっかりとかたちになりました
心から感謝申し上げます。

外は美しい黄昏れの空でした。
合掌。

2019.09.17

訪問診療ブログ『看護師さんたちへ』

金谷潤子
8月30日

この話も何度もしています。
私は看取りがしたくて訪問診療している訳ではありません。
自分の「いのち」へのこだわりをし尽くしたいだけなんです。

終末期の患者さんに必要なことは、医者からは丁寧な説明と十分な手の内。
主役は看護師さんの手厚いケアだと思っています。

訪問看護さんが、とことんケアに尽力して欲しい。
病状に振り回されることなく安心して専念できるように、
私はしっかりと薬剤コントロールと必要な説明をしておく。
その場でご家族や訪問看護さんが調整できるような、薬剤や処置の幅も十分持たせて。

当院は外部の訪看さん頼みであり、そして訪問看護さんたちにたくさん活躍して欲しいので、いつでも通常の在宅医療算定にしています。
その場をきちんとしつらえるのが私の役割だと思っています。

医者ばかりが脚光を浴びますが、最も大変でありがたいのは看護師さん達の働きです。
暑くても寒くても、丁寧に身体を拭き、排便の援助をし、傷の手当てもする。
ニコニコ優しい笑顔で、優しくお手当てしながら、患者さんやご家族の心の支えとなって下さる。

私は看護師さんたちをどれだけ生き生き活躍させることができたかを自分への評価としています。

看護師さんたちの働きはあまりにも地味で、決してドラマチックではありませんが、
まことの心の癒しとは実は目立たないことの繰り返しではありませんか?

特別なエステや南国旅行でのリフレッシュも素晴らしい癒しの時間とは思いますが、
大切な方からの日々の「ありがとう」の言葉、笑顔、これらこそがあなたの人生をしっかりと支えてくれると思いませんか?

自分を根っこからささえて、
芯から癒してくれることとは、
決して特別ではない
誰かのさりげない気持ち。
あたたかい言葉。
優しい存在。

いつも居るから特別に思わなくても、
パートナーや家族やペットの
日々の存在にどれほど癒されていることか。

これこそが大切な「緩和ケアの真髄」なのです。

当院は訪問看護を持ち合わせておらず、他の事業所さんのステーションと全て患者さん毎の新たなチーム編成で請け負っております。
やる気いっぱい、ナイチンゲール魂の新たな看護師さんと出会えた時の喜びはまた格別です。
そして、お迎えの近い方々の支えとなって下さることを願い、その為の計画を立て、実行していくことが私の「終末期医療」です。

今日はある訪問看護さんから、こんなメッセージが届きました。
初回訪問で介護保険の認定調査中に、訪問診療の必要性を確信してコッソリ連絡くれたのです。
こんな声に応えずにいられましょうか。
当院からは結構な遠方でしたが、メッセージを見た40分後にはご挨拶に伺いました。

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