訪問診療ブログ『啓蟄』
『啓蟄』
3月5日に始まった今年の啓蟄(けいちつ)は 3月20日に終わります。
二十四節気(にじゅうしせっき)は1年を24分割し、最も昼の長い日を夏至、最も昼の短い日を冬至、昼と夜の長さが同じ日を春分・秋分とし、それぞれを春夏秋冬の中心に据えることで季節を決めた暦ですが、啓蟄は、その春の中でも「土の中の巣篭もりしていた虫が這い出して来る頃」という意味の時節です。
冬の眠りから目覚めた春の生命エネルギーが大気に満ち始めると、心身が衰弱している方は、そのみなぎる熱量と引き換えに自分の旅立ちを感じ取る印象があります。
いのちは、めぐり保存されます。
今生でいのちの終わりを迎えても、
次にバトンが渡されて
いのちの重みや大きさ、尊さは減弱することがありません。
啓蟄は新しいエネルギーの現れであり、
冬とともに旅立つ魂からの贈り物です。
旅立つ方々は残る者たちに多くを贈ることで、
身軽になって次に向かうのでしょう。
長かったご縁の方も
いただいたばかりのご縁の方も
どうか静かで穏やかな道行きでありますよう。
訪問診療ブログ『相性』
金谷 潤子 2月14日
今日はある患者さんのご家族と既存の訪看さん、ケアマネさんに当院外来にお越しいただき、
今後の新しいチームでの在宅療養について話し合いの場を設けました。
認知症などで経口摂取も思わしくなくなり、肺炎を機に廃用が進んでいます。
長く診ておられた訪問診療の先生がいらっしゃいましたが、
「自分の説明の仕方が足りなかった、金谷先生ならばきっと不安なく寄り添っていただけるだろう」
と直接お電話もあり、主治医交代で受けさせていただくことになりました。
この先生は非常に真面目な良い先生で、
ご家族は「その誠実さに自分のいい加減さが申し訳なくて色々相談できなかった」と、
仰っていました。
訪問診療と言うのは、その方のプライベートな生活空間に入り込みます。
たかが在宅医ではありますが、月に2回定期的に家に訪れる「他人」には、
相性や印象も大事な要素でしょう。
私の声を「大きくてうるさい」と嫌がる方も時々いらっしゃいます。
つい熱が入ると、更に音量が増してしまいます。
お耳の遠くない方には、極力静かに話しかける様に心がけていますが、
それでも、やかましくて、じっと我慢しているのかもしれませんね。
自分のポリシーやスタイルや治療方針が全ての患者さんやご家族にとって
「間違いない」と考えてはなりません。
「正しい」とか「正しくない」で分けられないところに、
大切な問題が潜んでいることも多くあります。
特に「死や老い、終末期の受容」に関することは、
私が医師として学んできたこととは別の「人間性」も求められます。
今回ご紹介して下さった先生の様に、
私もいつも謙虚に誠実に「私で大丈夫だろうか?」
と言うことも忘れないでいたいと思います。
※今日はバレンタインデーでしたね。
私も実家に行き、父の骨壺(うちは位牌や仏壇が無くて母が骨壺の周りに写真や思い出の品などを飾っています)にチョコレートと生寿司を届けて来ました。
美味しく食べたかな?
皆さまも、良い週末をお過ごし下さい。
当院副院長がオントナに載りました!
北海道新聞朝刊のオントナにて
当院の在宅医療について取り上げて頂きました!
副院長 金谷潤子が在宅医療について語っています。
北海道新聞社さんありがとうございました。