2022.12.27
女性とふたつのD
女性にとって、ダイエット(Diet)は大きな関心ごとの一つです。とくに、コロナの影響で自粛太りになってしまいダイエットしなくてはと考える方も多いと思います。
しかし、もう一つのDはあまり注目されません。それは、ビタミンD(VD)です。ビタミンDは、日光に当たることで、皮膚で合成されますから普通は問題にならないように思います。ただ、北半球、日本では北海道が特に問題ですが、日照時間が短いので不足するのです。
若年女性では、VD不足が妊娠率を下げる、流産を増やす、さらに妊娠中の高血圧、糖尿病、早産に関係すると言われています。中年以降では、うつ病、高血圧、糖尿病の発症に関係し、免疫バランスが悪化するため、花粉症(免疫過剰)、ガン、ウイルス感染症(免疫低下)に関係することが知られています。高齢者では、VD不足は骨粗鬆症、認知症に関係すると言われており、全年齢の女性にとって必要な栄養です。
ちなみに、VD濃度(25OHビタミンD)は検査が保険適応となっています。骨軟化症の検査で一般の医療機関で調べることができます。30ng/mL以下はサプリメント等で補充する必要があります。当クリニックで調べた中では、ほとんどの方が30以下でした。補充にはVDサプリメントで1日4,000〜5,000IU摂取を推奨しています。
2022.11.25
訪問診療ブログ『終い支度』
『終い支度』
あるお友達からご連絡がありました
「金谷先生、こんばんは。
最近、とうとう院長先生から
終末期医療について話がありました。
覚悟していましたが、
実際に聞くと、
やはりショックが大きいです。
トイレに行けなくなったので、
3週間前から紙パンツを始めた途端に、
眠ることが増えました。
会話も少なくなり、
いつ逝ってもおかしくないと
言われています。
それまで元気にしていたのに。
急に悪くなるのですね。」
—————————-
「お父様、
ご迷惑をおかけしまいと、
ご自身の終い支度を始めたのですね。
急に具合が悪くなったのではなく、
ご自身で、
しっかりと生きたご確認をされ、
お身体がご卒業に向けて
整い始めたのだと思います。
それは具合が悪いのではなく、
病気でもなく
自然な老いで、
自然な衰弱です。
芽が出て
花が咲き
自然に枯れて
土に還るように
それは
とても自然な
大往生に向けてのお支度です。
お父様、とてもご立派な方ですね。
潔い、
終い支度のあっぱれなお姿を
遠く北からご尊敬申し上げます。
お父様のご卒業を
お心鎮かにお見送りできますよう
願っております。」
—————————-
「そうなのですね。
急に具合が悪くなったわけでは
ないのですね。
家族にも、
先生のお言葉を伝え、
卒業を心静かに見守りたいです。
ありがとうございます。」
2022.10.26
訪問診療ブログ『魔法の胃の管』
『魔法の胃の管』
胃に溜まる消化液も
腸に流れずに嘔吐してしまいます
排液の為の胃管が
鼻腔から入り留置されました
飲むことも
食べることも
もうできません
病院で過ごすことが辛く
ご自宅で最期まで
ご家族と過ごすことを決めました
少しだけの点滴を
毎日続けました
欠かさず飲んでいた
大好きなコーヒー
先生?
やっぱり無理ですよね
飲めませんよね
飲みましょう
ステキな胃の管が入ってますから
飲んで直ぐに
そこから抜きましょう
お母様は美味しそうに
淹れたてのコーヒーを
味わい
ゆっくりと飲み込み
娘さまが横で
専用の大きな注射器で
管から吸い上げて破棄しました
喉越しで充分に満足されました
嘔吐も何も起きませんでした
毎日たくさん口にされました
アイスクリーム
お茶
スープ
甘い飲みもの
少しのお酒
2か月ほど毎日
飲食を楽しみ
ドライブも何度も叶えて
大きな苦しみも
痛みも無く
静かに
そっと日常の中で
旅立ちました
違和感や苦痛の印象が強い
胃管留置ですが
この方には
飲食できないはずの終末期を
お迎えの日まで
楽しむことを叶えてくれた
大切な魔法の管でした